経済

戦争が終わると経済は冷える。西側に迫る“大不況”の予兆と、今やるべき備え

ウクライナ戦争の影で、防衛関連やエネルギー、資源、物流といった分野が大きく伸びている。
一見すると好景気にも見えるが、それは戦争という特殊な状況による一時的な特需にすぎない。

最近では、市場関係者の間でこんな話がささやかれている。
「戦争が終わったあと、本当の不況がやってくるのではないか」


■ なぜ“戦後”に不況が来るのか?

理由はとてもシンプルで、「特需が終わる」からだ。

戦時中は政府が巨額の予算を投じて、武器を調達し、エネルギーを買い、物流を動かす。
その結果として企業にお金が流れ、株価も上昇し、一部の業界では活況を呈する。

ただし、それはあくまで戦時下という非常事態に支えられた景気であり、
持続的な成長とは違う。異常な状態の中で起きた一時的な膨張だ。

戦争が終われば、そうした政府支出は一気に冷え込む。
残るのは、高止まりしたインフレ、増えすぎた財政赤字、重い金利負担、
そして戦時需要を前提にして膨張した企業群。

終戦はもちろん歓迎すべきことだが、経済的にはリスクの面もある、というのが今回のポイントだ。


■ 警戒すべき業界・セクター

1. 軍需関連

戦争中は需要が集中して業績も株価も急上昇するが、
終戦後は発注が減り、一気に逆回転する可能性が高い。

2. エネルギー・資源

戦争の影響で上がった原油や天然ガス、小麦といった価格は、
終戦とともに落ち着きを取り戻す。価格下落により企業の利益も縮小するだろう。

3. 物流・海運

供給網の混乱で好調だったが、
状況が安定すれば運賃も需要も平常に戻っていく。

4. ハイテク・不動産バブル型

AIや半導体、高騰していた都市部の不動産。
期待で膨らんだバリュエーションは、現実と向き合うタイミングが近づいている。

5. 金利依存型の企業

低金利で延命してきた企業は、高金利環境では厳しくなる。
借入が重荷になり、収益が出なくなる。
日本にもこういった企業は少なくない。


■ 個人が今できる備えとは?

  • 資産の分散
    ひとつの通貨、国、業界に偏るのは危ない。米国株だけ、円資産だけ、というのはリスク。
  • キャッシュの重要性
    下がった時に動けるのは資金を持っている人だけ。暴落後の“買い場”に備えて弾を用意する。
  • 守りの資産を持つ
    金、現物、海外不動産など、価値が落ちにくい資産を一部持っておく。
  • 海外とのつながり
    日本国内にだけ依存しない。海外口座、複数拠点、現地ネットワークを持っておく。
  • 自分に投資する
    語学、スキル、健康、判断力。どんな相場でも自分は最大の資産。

■ 最後に

「戦争が終わる=平和=安心」
それはもちろん一面の真実だけど、
経済の面では、必ずしもバラ色ではない。

むしろ戦争中に生まれた特需が終わることで、
経済の熱が一気に冷めるリスクがある。

そのときに困らないように、いま備えておく。
動ける準備を、少しずつでも始めておくことが大切だ。

未来を悲観する必要はないが、
「楽観しすぎない」という姿勢が、これからはますます重要になる。

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